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二次創作小説・主にカカイル
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Kakashi×Iruka(♂/♂)
お姉さん向け。


+ + + + + + + + + +
午後から降り始めた雨が、窓を叩いている。
仕方なく部屋に干した洗濯物はまだ乾かず、持ち帰った書類が湿気て、ペンを走らせるそばからインクが滲むのに苛立つ。
春の雨が上がった後の新緑は綺麗だし、夏場の水不足を思えば有り難くもあるのだが、この湿った空気の重さはどうしても好きになれない。

「ね、イルカ先生」
鬱陶しいのは雨のせいばかりでもなく。
「何ですか」
先刻から卓袱台で仕事をしている俺の太腿に、図々しく頭を乗せている、これ。
「明日から連休ですよね」
愛読書のエロ本を読みながら、本当は構って欲しいのにおとなしく仕事が終わるのを待っている可哀想な私、の雰囲気を醸し出すという器用なことをやっている、これが。
「ええ、そうですが」
うんざりして無愛想な返事をしているというのに、満足げな様子で腿に頬を擦り寄せ、懐いたりするのは下心の故だと、わかっちゃいるのだが。
「じゃあ泊まってもいいよね」
甘えた声を出すな。
そもそも決定なのか、それは。
俺は今夜中にこの書類を片付けると言っただろうが。たまには人の話を聞け。いや、聞いたことを忘れた振りすんな。
「まだ大分かかりそうですけど」
構ってやる気はないと残りの書類の束を掲げて見せたが、一向に気にしないふうで、にこにこと笑っている。
むかつく。
何だってこんなに、キレイな貌してるかな。
すげぇ好き。
銀灰色の髪に縁取られた端正な貌。
白く滑らかな額と鼻筋は完璧なラインを描いている。ろくなことを言わない唇が、そんなに魅力的な形をしているのは詐欺みたいなもんだろう。
長い睫の影は青みを帯び、その下から覗く、濃い青と深紅の色ガラスを填め込んだような両眼。赤い方の眼をよぎる大きな傷も、かえって甘いつくりの造作を男らしく見せて、その為についているんじゃないかと思えるくらいだ。
見てるだけで、鬱陶しいなんて文句もどこかに飛んで行く。今だって、馬鹿みたいに見とれて間抜け面を晒したくないから、真面に見つめないようにしてるのに、人の気も知らないで。
知らない訳ないよな。上忍だし、写輪眼だし?……気づいているくせに。
「終わるまで、待ってます」
はいはい、お好きにして下さい。






いつの間にか雨音は遠のき、静かな霧雨になっていた。
なんとか始末のついた書類をケースに収め、すっかり冷めた茶を啜りながら時計を見れば、日付を越えて十五分ばかり。
太腿の上の重みがもぞもぞと動く。
「終わった?」
「はい」
眠っているとばかり思っていたが、俺を見上げてくる色違いの眼はいつも通りに眠たげで、つまり、起きてたってことだ。
待ってる、と言えば本当にそうするところが、何だか犬っぽい。
任務には平気で遅刻するのに、変なところで真面目というか義理堅いというか、口に出したことは必ず守る。守らない約束は巧く話を逸らしてしまうから、逆に嘘だとわかってしまうのに。
案外、腹芸が下手なんだよな。人間ひとつくらいは可愛いとこがあるもんだ。
可愛いっていうか。
何が楽しいんだか、俺なんかのところへ飽きずに通って来ては勝手に発情するし。そのくせ、冷たくすれば部屋の隅ででかい図体丸めて、しょんぼり膝抱えてるし。そういう子供じみたところは、エリート上忍らしく得体の知れない外面に反して、可愛げがあるけれど。
やっぱり可愛いのか。
「付き合わせてすみません。眠くないですか?」
仕事を終えて一息ついてみれば、ささくれた気分もいくらか落ち着いて、自分の八つ当たりじみた態度が申し訳なく思えてきた。それを咎められないと分かっているから、尚更。
このひとは俺に甘い。
実力の差だとか階級の隔てる壁だとか、そのほか諸々の、上忍の側にいたなら否応なく感じさせられる筈のものを、上手に隠して懐いてくるから、俺は時々、甘やかされていることを忘れてしまう。
そういうことに馴れちゃまずいのに。
何もかも許し過ぎて相手を駄目にする性だから、望み通りに凭れかかってやる訳にはいかない。
馬鹿だよなァ。
持て余しても、縋りつかれたら捨てられないくせに、自分で背負い込む荷物を重くしてどうする。大事にするって、そういうことじゃないだろ。
そんなふうに懐に抱え込むしかできないなんて、本当に馬鹿な男だ。
指先でそっと寝癖のついた髪を撫でてやると、満足げに目を細めたカカシが、不意にひょこりと半身を起こした。
俺のすぐ横へにじり寄り、揃えた膝に両手を置いて小首を傾げ、あのね、と切り出す声音は何だかとても楽しげだ。

「イルカ先生、誕生日おめでとー」

驚いた。
そうか、それが言いたくて起きてたのか、このひと。
言われるまで自分の誕生日だってことも忘れていたけれど、人に祝われるのはやっぱり嬉しい。面倒臭がって年中行事一切を黙殺する、このひとが覚えていてくれたことも。
「……ありがとうございます」
嬉しいのと気恥ずかしいのとで、思わず、俯いてぼそぼそ返事をしてしまった俺を、覗き込むように笑顔を寄せて。
頬にちゅうとかしますか。そうですか。
信じられん、何て恥ずかしい男だ。
「休みなら遠出しても大丈夫だよね。起きたら何か食べに行きましょう」
一気に血の気が昇った顔を片手で覆い、ちらっと横目で窺い見た二色の眼差しは、何でそんなにと思うほど嬉しそうで、優しくて。
あぁもう、このひとは。
本気か? 素でそれなのか。
この野郎。
「イルカ先生……?」
たまらないだろ、そんな眼をされたら。
びっくりしている綺麗な貌を掴まえて、薄く開いた唇に接吻けた。
形のいい唇を軽く食み、舌で滑らかな歯列を辿る。いつも左側の、鋭く尖った犬歯に引っ掛かって、やっぱり今度も痛みに怯んだ舌先を、引き留めるようにゆるく吸われる。
これはもう癖というか、お約束だ。
お約束で熱くなる俺の躰もどうかと思うが。どうかと思うだけで終わるほどには、気持ちいいことを仕掛けてくる両腕に抱き寄せられて。
いいようにされている口の中の疼きが、そのまま腰骨の辺りに落ちてゆく。
カカシの首に腕を回し背後に倒れ込めば、勢いよく床にぶつかる筈の後頭部を、いつのまにか大きな掌が支えていた。
畜生、どっから出てくるんだ、その余裕。
くすくすと笑いながら離れてゆく貌が、憎たらしい。
「ねえ、ベッド行きましょうよ」
「ここで、いいです」
悔しいことに、俺には余裕なんかないし。
「はあ。いまだにあなたの着火点が謎なんだけど……嬉しいです」
何とでも言え。
だいたい、一年中発情してるような男の思い通りに火を着けられたら、俺がかなわん。
「でも駄目。この前、青アザつくってたでしょ」
どこをどうされたものか、一瞬のうちに、片腕で軽々と肩に担ぎ上げられていた。
こんなところで無駄に上忍らしい力を発揮しなくても。つか、せっかくその気で迫ったのに、砂袋みたいに引っ担がれて運ばれる、俺の立場は。
こういうときは勢いに流されろよ。正気に返らせるな、恥ずかしいから。






気遣うようにそっと、ベッドの真ん中に降ろされて。
この場合、気遣われているのは、度々の耐過重を越える酷使に耐えている古いベッドな訳だが。
ベッドの端に腰を下ろしたカカシが、右手を差し伸べる。
俯いた頬に触れてくる掌の、ひんやりとした心地よさに、自分の熱を知らされた。
顔が燃えるように熱い。
ったく、だから嫌だってのに。
この、さあこれからやりましょうってな間が、気まずいというか照れ臭いというか、どうしても慣れることができない。
嫌だな。俺、茹で蛸みたいな面してるんだろうな、きっと。 男同士で、こういうことが初めてでもなくて、いやむしろ、かなり濃いコトもやっておいて今更、ここで赤面するのはいかにも期待してますって感じだろう。格好悪い。
頬を撫でていたカカシの手が首筋を辿り、肩から背中へするすると下りて、たくし込まれたアンダーの裾をを引き出そうとするから、勢いよく自分で脱いだ。
目を丸くするカカシに構わず、アンダーを床に放り投げ、下も一気に引き下ろし脱ぎ捨てる。
色気がないだとか何とか、ぼやく声が聞こえたが、そんなものはなくて結構、手順通りにゆっくりと脱がされて、あの死ぬほど恥ずかしい雰囲気を長引かせることを思えば、いっそ即物的と言わた方がましだ。
「わ! ちょっと、イルカ先生ー」
ようやく脱ぎ始めたカカシのアンダーを両手に掴んで、引っ剥がす。
温もりの残る布の塊を放り出すと、カカシは苦笑を浮かべ、両手で俺の顔を挟み込んだ。
「逃げませんよ?」
がっついてるように思われただろうか。
実際、カカシが泊まってゆくのは半月振りくらいだし、否定しきれないところが癪だ。
まだ何か言いたげに開かれた唇に、自分のそれを押しつけ黙らせた。




始まってしまえば、枯れるに程遠い欲が身の裡を満たし、羞恥心を押しのける。
舌を絡ませ合いながら、それぞれの両手は別の作業に勤しんで、カカシの指先は俺の髪紐を解こうと結び目を探し、俺の手は…―――甚だ遺憾なことに、カカシの前を弄り下衣を寛げていた。
―――よぉ、久し振り。元気いいな、オマエ。
頭を撫でてやると、ますます張り切るのが可愛い。
こんなもん、半年前には触るどころか、見るのも遠慮したかったのに。
「ねぇ……そんなことされたら俺、我慢できなくなるよ」
は、と接吻けの合間に甘い息を吐く、いつになく殊勝なカカシに情が涌いたというか、頭が沸いたというか。
引き寄せられるように身を沈め、手の中のカカシの顔……と思われる辺りに口づけていた。
「……イルカ先生…っ!?」
頭上から降ってくる声からは、らしからぬ狼狽が窺えて、場違いに微笑ましい気持ちになる。
そりゃ驚くだろうさ、こんなこと。
されたことはあっても、したいと思ったことすらないが、不思議と今はそうすることに抵抗がなくて、どちらかと言えば面白い。
妙に上がったテンションのまま、再び音を立てて吸いつくと、カカシがひくりと身を震わせた。両方とも。
根元から裏筋を舐め上げれば、息を詰めるのがわかる。
行為は初めてでも、どうすればいいのかは覚えていた。申し訳ないことに、いつも訳がわからなくさせられるカカシの口淫よりも、過去の視聴覚学習の方が鮮明に思い出される。
口元と大きな胸しか記憶にないけれど、後輩にくれてやったビデオテープのお姉さん、ありがとう。まさか今になって役に立つとは思わなかったが。
唇と舌とで弄んでいるうちに、硬く育ってゆくカカシの反応に気を良くして、深く咥え込んでみる。
「ぅく………んッ…」
押し殺した呻きに気づき、咥えたものへ舌を這わせながら仰ぎ見ると、カカシは眦に淡く朱を刷いて、片手で口を覆っていた。
見下ろしてくる、あからさまな情欲に蕩けた眼差しに、ぞくりと身の竦むような感覚が背筋を走る。
こんな表情を目にするのは初めてだ。今までずっと、押し倒されてしまった後は容易く追い上げられ、いいように翻弄される恥ずかしさと、切羽詰まった衝動に振り回されて、カカシの反応を窺うことなんかできなかった。
こんなに、気持ち良さそうで、余裕のない貌。
もっとよく見たくて、カカシの貌を隠す腕を引く。抗う力を眼で咎めると、手は溜め息と共に下ろされ、優しく俺の頭を撫でた。
当然だ、いつも同じことを無理矢理やってるだろう、俺に。
視線を合わせたまま、尖らせた舌先で括れを擽る。
「ちょっ……と、離して…」
乱れた吐息に途切れる言葉は聞こえないことにして、先走りを零し始めた先端に舌を遊ばせていると、不意に頭を掴まれ引き離された。
「無茶しないで下さい、いきなり」
濡れた口元を拭いながら身を起こすと、カカシは忙しない呼吸を宥めるように、深く息をついていた。
惜しい。もう少しだったか。
「こっちの台詞です。っとに、あなたは……」
軽く睨む目元が赤みを帯びて艶っぽい。
この綺麗なひとが欲情して、大して巧くもないだろう俺のすることに感じてるのがわかって、それが結構、嬉しかったりしたのだが、やはり達かせるほどじゃなかったらしい。
「よくなかったですか」
「ああ、そうじゃなくて」
少しがっかりして俯いていた俺を、カカシは両腕の中に抱き込んで、額を肩口に押し付けてくる。柔らかな髪の毛先が首筋に触れて、擽ったい。
「イイに決まってるでしょ。かなーり、ヤバかったです」
じゃあ何で、と思わず呟いた口に、笑みを含んだ薄い唇が押し付けられた。
「誕生日なんだから、俺にご奉仕させて下さいよ」
このひとは絶対、馬鹿に違いない。
というか、常々俺が一方的にされている色々なことが、その〈ご奉仕〉でないとすれば、いったい何がご奉仕なんだ。
何をする気だ、このひとは。
「だからイルカ先生は、冬籠もりの熊みたいにしてて?」
しかも、言うに事欠いて、熊ですか。
ね? なんて甘ったるい声音で、色っぽい上目遣いで見つめてきても駄目だ。もう全然、まったく可愛く見えない。
―――…胸が痛くなるけれど。
馬鹿だなぁ。
何かして欲しいなんて、少しも思っちゃいないのに。
そりゃあ、たまには気持ちの悦いコトもして欲しくなるんだが。
―――俺は、あなたに好かれていると感じられるほうが、ずっと嬉しい。 
不器用に愛情を差し出すことしか出来ないひとだから、きっと、俺が思う気持ちの半分も解っていないんだろう。
そんなひとが好きだなんて、俺も大概、馬鹿だ。
その笑顔を見ているだけで、愛しさで胸が苦しい。そう認めてしまえば、抱き締めて離したくなくなるから、いつも言えないだけで。
年に一度くらい、言ってもいいか。
引き締まった躰を思いきり抱き返し、背中からシーツに倒れ込む。

「好きです、カカシ先生」

嬉しそうに目を細める、その貌を引き寄せてキスをしよう。
それから、もっと気持ちのいいことも。


〈終〉
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はじめまして!
こんにちは、はじめまして!カモシィと申します!!
こちらのブログには初めて訪れたのですが、ハ、ハ、ハマりました!
まだ「雨の温度」一作読んだところなのですが、カカシ×イルカというだけでも私の大好物なのに、加えてこの描写!!
イルカのモノローグが沁み入りました!!そしてカカシが可愛いです!!!たまらんです!!!すっごく雰囲気ある場面にも関わらず、ふっと笑えたりして、もう大大大ハマリました!!

興奮のあまりものすごい長文・乱文で失礼しましたが、これからの作品も期待しております!
そ、それではこれから一気に全作品読破して参ります・・・!
カモシィ URL 2006/03/20(Mon) 編集
いらっしゃいませ
はじめまして、カモシィさん。
「雨の温度」を読んでくださってありがとうございます。
カカシ×イルカ好きさんに出会えるだけでも嬉しいのに、その上書いたものを読んでもらえるなんて嬉しさ倍増です!

カモシィさんの熱いお言葉をいただいて、今とても幸せな気分にひたっています。
ぜひ他の話も読んでやってください。
どれも楽しんで書いたものなので、その楽しさが読んでくださった方にも伝わったら最高です!
gedoh URL 2006/03/20(Mon) 編集
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