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二次創作小説・主にカカイル
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カカシ×イルカ(♂/♂)
全7回。
暴走気味なカカシのらぶこめ。


+ + + + + + + + + +
 寒月を見上げる影は独りぼっちだった。

 イルカの家の前に立ち尽くし、カカシはポケットの中の鍵を弄んでいる。
 夜も更けてきたというのに、ドアの向こうに人の気配はない。
 イルカにしては珍しいことだが、おおよその見当はつく。時期柄、余分な残業を背負込んでしまったか、忘年会の幹事でも押し付けられたのだろう。
 どうしたものか。
 カカシは迷っていた。
 手には最近もらったばかりの合鍵がある。だから、部屋の中で帰りを待ってもいい。互いに不機嫌なまま別れた日以来の無沙汰に、イルカは怒るかも知れないが、きっと許してくれるだろう。
 いつものように。
 だが、カカシには自分がいつものように、しおらしく許しを乞うことができるとは思えなかった。それどころか、イルカの姿を目にした途端、襲いかかりそうな気がしている。
 そんなことは許されないと己を律するだけの理性は残っていた。むしろ、残っていて欲しくなかったと思えるほど、ささやかに。
 自嘲の思いにゆるく頭を振って、屋根に飛んだ。建物の反対側に回り、イルカの部屋のベランダに降りる。
 腰を下ろして壁に凭れると、コンクリートの冷たさに身震いがした。



 カカシは抱えた片膝に顎を乗せ、傾いてゆく白い月を眺めていた。
 日付が変わって半刻ばかり。
 ふと、遠く待ち人の声が響いて、カカシは素早く視線を走らせた。知らず、口元がほころぶ。
 一丁ほど先の小路の角に人影が二つ。
 イルカは千鳥足の同僚の肩を支え、抱えるように歩いている。それは面倒見のいいイルカらしい仕方で、邪推を招く素振りなど微塵も見えなかったが、カカシはひどく不快な気分になった。
 何か嫌なものが、胸の奥をちりちりと灼いている。
 握り締めた掌に、爪が食い込む。
 泥酔しているらしい男とイルカの姿が、隣に建つアパートの陰に隠れた。
 くすんだ壁に並ぶ、暗い窓のひとつに明かりが灯ってまもなく、イルカの姿は再び路上にあったが、もはやそれはカカシに喜びを与えるものではなかった。
 ―――どうして。
 イルカが他人に触れるのを、許せないと思う。
 イルカに触れた男に、殺意を覚える。
 激しい感情の波に揺さぶられ、込み上げる吐き気に奥歯を噛み締めた。


 背にした壁越しに、水音が響く。
 帰宅するなり風呂場に直行したイルカは、酒気を抜こうというのか、長々とシャワーを浴びている。
 その間にカカシは何度も帰ろうと考え、また思い直した。
 イルカに逢いたい。
 けれども、己の押さえ難い衝動によってイルカを傷つけるやも知れず、逢ってはいけないのだとも思える。
 かつてない理性と欲望の相克に身動きが取れなくなり、とはいえ、そう簡単に壊れてしまえるほど、やわにできてもいない。
 頑是ない子供のように膝を抱えて、カカシは堂々巡りを続けていた。
 不意に水音が止まり、イルカの気配が動く。静かな足音が寝室に近づいて来る。
 カカシは面を上げ、傍らの窓から室内の様子を窺った。
 せめて一目、貌だけでも見て帰ろうと、未練がましく覗いた窓硝子の前で、姿勢が固まる。
 イルカは腰にタオルを巻いただけの姿で、濡れた髪を拭っていた。
 湯上がりの男が髪を拭いている、ごくありふれた光景だが、カカシの眼に映っているのは、常識的な観念を上回る未知の世界であった。
 恋人とはいえ、唇を触れ合わせるのがせいぜいの関係だけに、イルカはカカシに対して甘えもせず、意識的に隙をつくらないようにしている節がある。
 カカシの前では、イルカが酒を過ごすことなどないし、同じ部屋で着替えることもなければ、括った髪を下ろすことすら滅多になく、必然、カカシはイルカの肘より先の肌を知らない。
 故に。
 刃傷やら火傷の痕やら、傷痕など珍しくもない忍の中においても目立つほど、数多の傷が縦横無尽に走る、華奢とは云えないイルカの躰を目の当たりにして、カカシの視覚と脳が受けた刺激は、上忍の肉体に尋常ならざる反応を引き起こした。
 右手が窓を開け、後ろ手に閉めた。
 驚いて跳び退るイルカの腕を掴み、ベッドに放る。
 反動で起き上がろうとする躰にのしかかり、押さえ込む。
 その間、一秒半。

 まずい、と思った時には既に、見開かれた黒い双眸が間近くあった。


〈続〉



2002/10/08〜2002/10/13
2002/12/08:改稿
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うわ!うわ!
こんにちは〜。
コメントは一訪問につき一回に自粛しようと思ったのですが、あまりの面白さに自分が止められませんでした・・・スミマセン<(_ _)>

おあずけをくらったカカシの心情がとっても切ないですね。健気ですね。

そんな中で↓

<湯上がりの男が髪を拭いている、ごくありふれた光景だが、カカシの眼に映っているのは、常識的な観念を上回る未知の世界であった。

こ、ここがツボに入りました!!
未知の世界!!ナイス表現です!!(笑
カカシにぴったりの表現だなと思いました!

ああ、タオル一枚のイルカを一体どうするのでしょうか!早く続きを読まねば!
で、では行って参ります!
カモシィ URL 2006/03/27(Mon) 編集
>カモシィさん
おあずけカカシ、健気といってくださって嬉しいです!
イルカが大好きなカカシが好きなので、ついついしんどい目にあわせてしまいがちです。
カカシならなんとかするだろうって変な期待もあってのことですが(笑)

未知の世界にツボってもらえましたか。
笑ってもらえるのは最高というか、何かしら感じていただけると本当に書いてよかったと思えます。
いつもありがとうございます!
gedoh URL 2006/03/27(Mon) 編集
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