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二次創作小説・主にカカイル
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カカシ×イルカ(♂/♂)
過去のお題物より。犬も食わないアレ。


+ + + + + + + + + +
イルカってのは肉食なんだよ。
癒し系だなんて人間の勝手な言い分、奴らだって機嫌の悪いときには、尾の一撃で人の肋骨を叩き折ったりする水中の獣だ。
知的で優しい動物を讃える逸話の数々は、語り手側の真実に過ぎない。
イルカだって別に、人助けが好きな訳じゃないだろう。基本的に群れて暮らす生き物だから、自分より小ぶりな危険でもない動物が溺れていたら、俺だって助ける。それ以前に、弱った仲間を溺れさせないように支えるのは、奴らの習性なんじゃないのか。
だとすれば、イルカの他者に対する優しさが、好意に基づくのかどうか知れたもんじゃない。
イルカだって、俺と同じように勝手な生き物だってことだ。




つまらないことに違いないが、喧嘩のきっかけが何だったのかは、もう思い出せない。
優秀な筈の記憶力は、波立つ感情の底に沈んで役立たず。
そんな俺に輪をかけて感情的な相手を論破するのは簡単なのに、頭の中では辛辣な単語が紡がれないまま、くるくると空転を続けていて、舌は平然と嘘をつく技術を忘れた。
イルカ先生の前では、自分がひどく愚かに思える。

―――くそイルカ。
思わず口の中で呟いた悪態を聞きつけたのか、イルカ先生の眼が吊り上がる。
普段から表情豊かな双眸は怒ると三白眼になって、子供を怯えさせる程度にはこわい。
「下忍を任されている身で、そんな言葉をつかわないでください」
突っ慳貪で他人行儀な口調が、腹を立てているという警告なのか、嫌がらせなのかは微妙。きっと両方だ、イルカ先生は意地が悪いから。
「……うんこイルカ」
ごつん。
言い直したら、脳天を拳骨で殴られた。
初めて手を上げられたのに驚いて、まともにくらってしまったのは痛恨だが、仕方ないだろう。
まさか拳で殴ったりしないと思うでしょ、恋人を。
「子供ですか、アンタはっ!」
上忍ですよ。中忍に易々と殴られちゃったけど。
しかも、あなたに振り回されている可哀想な恋人ですけど、もしかして、それは俺の勘違いでしたか。
何だか面倒臭くなって、凭れていた壁を背でずり落ち、床に座り込んだ。
不毛な言い合いをする気力も萎えて、胡座をかき俯いている俺の真正面に、イルカ先生が正座する。お説教モードに突入だ。
「何度も言いたくありませんが……」
ほら見ろ。つーか、俺も聞きたくありません。

―――何で聞くかな、俺。

さっさと立って帰れよ。
いい歳をした男の頭を無造作に殴っちゃうような、無神経なヒトは放って置いてさ。
大人気なかったのは認める。
それはそれとして。
俺はアカデミーの生徒じゃないんだから、気安く頭なんか殴られたくない。女に顔を打たれるのとは訳が違うし、そもそも、俺は殴らせたことなんかないし。
いや、くのいちは痴話喧嘩如きで、自分より強い男に手を上げたりしない。あいつらは用心深くてしたたかだから、いくらブチ切れたように見えても相手を測っている。
絶対に敵わない相手を攻撃するなんてのは、阿呆か堅気のやることだ。
で。
どちらでもないイルカ先生には、俺に反撃されない根拠があったと。
何なんだ、それは。
確かに、さっきは殴り返さなかったが、次も同じかどうか、俺にも分からないのにね。
無茶にも程があるでしょ。
生徒が悪いコトをしたら拳骨で教える、それはいい。でも、相手は選びなさいよ。誰彼構わず正そうとするのは危険でしょ。里の中だってさ、あんたを好きな奴ばっかりじゃないのは知ってるでしょうに。

―――あぁ……畜生。

あんたを好きな、俺みたいに。
それか、根拠は。
無意識でも、そうでなくても性が悪いよ、先生。




床を睨む視界の端、項垂れた俺の前髪ごしに、膝を突き合わせているイルカの、太腿に置かれた両手が見える。
そんなに大きくはない。骨太な男の手だけれど、厚い爪をきれいに摘んだ指先は、見た目より器用な真似をする。
痛いこととか、気持ちいいこととか。
今は、とても痛い目に合わされた気がする。
―――馬鹿か、俺は。
馬鹿だな。馬鹿でいい。
我慢できずに視線を上げれば、眉間に皺を刻んだイルカ先生の貌が、間近くあった。
口をへの字に曲げて、少し情けなさそうな眼差しで俺を見る。
「……聞いてなかったでしょう、カカシさん」
「ええ。でも反省しました」
ぴくん、とイルカ先生の片眉が上がった。
「適当なことを」
「本当です。ごめんなさい」
わずかに緊張の緩んだ頬に、差し伸べた手を避けられなくて良かった。
「俺が間違ってたのは分かったから、もう怒らないで?」
「っ……アンタな、そんなカオで云ったって」
何故だか、もう怒気は感じられないのに、直角に近いほど角度を増したへの字を親指でなぞって、両手で挟んだ貌を引き寄せる。軽く鼻先を合わせ、
「どんなカオです」
訊いてみた。
「だから、うやむやにしようとしてる」
「イルカ先生、見る目ないね」
ふと口ごもる可愛げを笑うと、低い唸り交じりの呟きが返ってくる。
「――…やらしい、面」
たぶん正解。
綻んだ唇に舌を捩り込んで、優しいイルカに全力で癒されてみようかと。
云わずにおくことは覚えた。


〈了〉



2003/12/14〜1003/12/16
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かっ、かわいい!
カカシ、可愛いです!
惚れた弱みっていうんですかね。
振り回されちゃってるカカチ。
イルカ先生はけっこう短気で怒りっぽいイメージがあるし、(そこがまたいいんですが)
喧嘩してても絵になる二人v

にしても、gedohさんの小説、ほんとにどれも素敵です。
いつもぐいぐい引き込まれてますv
ぽんた URL 2006/04/05(Wed) 編集
可愛いですか
そういってくださると嬉しいです!
きっとね、イルカ先生も怒りんぼな様子で甘えているところもあると思うんですよ。
だって本気で殴りあいになったらカカシにはかないませんから。
カカシも大人げなく手を上げたりはしないと思うし。

ということで、いつもお互いらぶらぶで、なしくずしに引き分けな二人です(笑)
gedoh URL 2006/04/05(Wed) 編集
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